1-マスタングタンク
2-リジッドバー加工
3-スプリンガー・3インチカット
4-2インチライザー
5-エイプバーハンドル幅ツメ加工
6-6インチ・フラットフェンダー
7-キックKit
8-フォードタイプ・ストップランプ
9-ONE OFF・ソロシート
10-ショートドラッグパイプマフラー
11-ミッド・コントロールステップ
12-デュース用17インチホイール



このモノクロームのソフテイルチョッパーのオーナーは去年の夏、カワサキのGPを足に一人で北海道ツーリングの途中、寂れた「とうもろこし屋」で食事中に我らがシックスモーターサイクルの誇る精鋭部隊に拉致されたまだ10代の若者です。我々に出会わなければ人並みの生活が送れただろうに運が悪かったのか、それとも天のさだめかみっちり洗脳されてしまい翌月には片道6時間はかかるシックスモーターサイクルに通うはめに。さらに特別教育は進み遂に当店でバイクを購入の末、当然のようにカスタムすることになったのです。「世俗をはなれて命の洗濯を」というスタンスであるべき旅の途中でも「なにわ金融道」もびっくりのエゲツない営業活動はシックスモーターサイクル教団・ダークサイドの一面であります。
そんな若い彼にはもちろん満足なお金がある訳でもなく安価なベース車両とはいってもさらにカスタム費用となると普通なら手が廻りませんが、無い袖を振らすのがシックスモーター…もとい、初めてのハーレーで期待一杯、若者の特権である燃えるような激しい魂の炎は燃え上がり、そんな崇高なる望みをシックスモーターサイクルはできるだけ叶えてあげようと大出血サービスなカスタム内要となっています。
年式相応のやれた外装はフレームからスプリンガーフォークに至るまでホワイトにフルペイント。アルミ素材ゆえ白サビでみすぼらしい状態だったエンジン・ミッションは全バラの後サンドブラスト加工とフレームに映えるようにブラックペイント。普通ならこの工程だけでもかなりの工賃になるはず。決して長期在庫車両のサビ止めを兼ねて当店でペイントしただろうなんて勘ぐってはいけません。今回は終始美談として話を構成するスタンスなんでそこんとこヨロシク。カスタムのスタイルはソフテイルスプリンガーベースとしてはオーソドックスなスタイルではありますが前回製作しました桃色チョッパーとはガラリと雰囲気を変えましてシックスモーターサイクルでも最年少で不良崩れの彼ならこれくらいのノリでもいけるんじゃないかというニュアンスをカタチにしてみました。実際、彼の若さゆえの野性味あるキャラクターに爆音を響かせるこのチョッパーの組み合せはかなりワルです。



マスタング・タンクはフレームに合わせたホワイトをベースに、枠線だけのフレイムラインをメインにした淡白なピンストライプでフィニッシュ。手掛けたのは、これからメジャーになろうと躍起になっている兵庫県は西宮在住の自称ピンストライパー氏。性格は多少短気ではありますが、なかなかの腕前であります。 余白 2インチ・ライザーと幅詰め加工されたブラック・ミディアム・エイプバーを合わせスイッチはフェイク特製のキットを奢り、これに艶の抑えたブラックのグリメカ・ブレーキマスターを組み込んだシックスモーターサイクル定番のハンドル廻り。
グリップはメインカラーのホワイトをチョイス。



エヴォモーターは先程述べたように一度バラしてからサンブラ処理の後、部分的にブラックペイント。ノーマルのCVキャブではありますがエアクリーナーはオールドスタイルのモノを。異常に短いターンアウト・マフラーはもちろんONE・OFFで、ブラックペイントに。見た目も聞いても非常にワイルドな逸品です。このノリならキックKitも、お約束。 余白 ブラックにペイントされたプライマリーケースにはノーマル部品を流用したミッド・ステップを取り付け加工。直角に立ち上がったシフトペダルは踵で蹴るようにして操作するのですが多少のコツを必要とします。普通のシステムでも良いのですが、なにぶん面白味に欠けますので、ここは雰囲気重視でオーナーにはガンバってもらいましょう。



リアショックにリジッドバーを入れたので前後のバランスをとって3インチカットで車高を下げた純正スプリンガー。フォーク自体はホワイトベースでスプリングと21インチホイールなどをブラックペイント。なんとなくノスタルジックな雰囲気もあります。 余白 いつものONE OFFソロシート。フレームの幅から比べても分かるように小さな造作です。シックスモーターサイクルが考えるチョッパーのシートというものは、やはりこのくらいフレームが見えるぐらいスモールサイズのモノでなくてはいけません。



なぜか、お店にあったデュースの17インチ純正ホイール。これに小さめの150ワイドのタイヤを履かせて偏平率を稼ぐ手法をとりました。
オーナーの強い希望であったサイドマウントナンバープレート。この注文を迷いのない眼差しで言い切る汚れ無き魂は我々には眩しすぎます。
特徴的な丸いカタチのブレーキランプはオールド・フォード車に使われていたスタイルのレプリカ。
余白 6インチ・フラットフェンダーに描かれた特徴的なイラスト。件のピンストライパー氏によるオールドスクール調の図案です。
羽のあるビリヤードボールに刻まれた「G・P」の文字。頭金にされた彼の以前の愛車であると同時に北海道で始まった我々とオーナーとの記念すべき出会いの記号でもあります。でも一番大きな意味は彼のニックネームである「GP君」。そう、我々は彼の本名を知らないの…。

APR.2005