製作者が遊び惚けていましたので遅れに遅れていたシックスモーターサイクルのフルカスタムチョッパーの登場です。決して書き手がサボっているのではありません。ホントのハナシ。
今回はカスタムの歴史やらの流れからすれば、ボバーからチョッパーへの過渡期のスタイルで旧車風の良い雰囲気が狙いドコロであります。もちろん本気なチョッパ−ならパンやナックルなどの旧車をベースに当時モノのレアパーツなんかをちりばめて仕上げるのが王道なのは分かっているんですが、なにせ辺境の3流ショップなので集まってくるお客さんの懐の具合も知れています。そんな訳で当店ではショベルを手掛けることが多いのですが,決してそのようなネガティブな理由だけではありません。何と言えばいいのか表現が難しいんですが、ショベルというエンジンはとにかく「いい感じ」なんです。ハイテックでありあまるパワーを思いきりアピールしてくるエンジンではないし,旧車のようなヘビーさもない。そうしたものを一通り経験した大人たちが、「いろいろと試したけど、やっぱりこれが一番」とたどり着くそんな雰囲気かな。どうも言い訳がましいが,まあ許していただきたい。ついでに前置きも長いですね。

1980年式で1200ccという排気量はめずらしいと思いますがこんなにチョップされてしまえばもう関係ありません。基本的な仕様は,フレームはリアをハードテイル化。それにお約束の74スプリンガーを合わせて,ラウンドオイルタンクから小物のステーまで半ツヤのブラック塗装でヴィンテージな雰囲気に。リアまわりはタイヤのフォルムにぴったりと合った5インチ幅フラットフェンダーに何のひねりもない短くシンプルな丸棒を曲げたシッシバー、それにSTOPの文字がユニークなストップランプを組み付けてみました。とにかく,小物パーツは目をひかないようにワンオフであることを感じさせないように仕上げてあります。なにせ,クールブレーカー見たバイクに装着されているようなすばらしいステー類を製作する技術もありませんから。その代わりといってはなんですがショベルあたりなら布巻きの配線を使うのは当たり前で.それをどのように見せるかといったトコロに力を入れてみたり、ワイヤーの取り回しにもこだわってみるというような努力は人一倍気を使っているんです。地味なトコロなのでさっぱり評価されませんけども。

ノーマルスポーツスタータンクを無加工でいつもの定位置から少し後方にずらして取り付け。車体の中央にマスが集中するようにして視覚的にコンパクトに感じれるように気をつかってみました。

ペイントはキャンディブルーの単色。フリスコ系フレイムパターンも良いけどいささか食傷気味の目には,こんなシンプルなモノがかえってカッコ良く見えたりします。

ハンドルまわりは3インチライザーにちょっぴり幅ツメ加工を施したエイプバーの組み合せ。ドラムブレーキゆえにシンプルなハンドルには尊敬するフェイク様のスイッチキットを奢ってみました。グリップはノーマルスタイルのモノをなんとなくホワイトタイプに。

ベイツタイプのライトは今回のやや旧車寄りのコンセプトに合わせて少々大きめの5インチオーバーのサイズをブラックペイントで。

エンジン・ミッション系はポリッシュしないでナシ地加工。これはシックスモーターサイクルが考えるところの旧車イメージです。自信はありませんがそのような気がします。

オーバルスタイルのステップボードは旧車カスタムでは定番ですが、ライダーのポジションはチョッパ−であることをふまえて後方上部に位置を変更してみました。あまり見ないカスタムかな。
SUキャブレターはネットタイプのエアクリーナーを選択。当店では何故か人気があるんです。

年式的にはロータリータイプのミッションなんですがこの車輌は旧型のラチェットタイプのモノになっていました。このことについては深く考えないほうがオーナーの精神衛生上ベタ−でしょう。とにかく見た目が良いのでジョッキーシフトがバッチリ決まっています。先端の一際目立つ大きなダイスシフトノブはオーナーの好みで。

1.5インチ幅のオープンベルトドライブキットで旧車風チョッパ−の雰囲気を演出しています。プライマリーケースに制約があるショベルにはこれがベストだと思います。