1-ハードテイル加工フレーム
2-マスタングタンク
3-74スプリンガー
4-3インチライザー
5-エイプバーハンドル
6-グリメカディスクブレーキ
7-SUキャブ
8-フラットフェンダー
9-ONE OFF・シッシバー
10-ONE OFF・ソロシート
11-ドラックパイプマフラー
12-ジョッキーシフト
13-ミッドコントロールステップ
14-保安部品完備



この上品さ漂うショベル・チョッパーは今までのシックスモーターサイクル・カスタムバイクとは気合いの入れ方がちよっとばかり違いまして、三流改造バイク屋が某ディーラー系大手専門誌に通用することを念頭において製作されたチョッパーなんです。コンセプトも雑誌のノリを真似して、「鉄馬でドコドコ、楽しいチョッパースタイル」と題しました。どうも世間一般のハーレーオーナーからは当店のような、個人経営の改造バイク屋の造るハーレーカスタムは「違法改造ばかりのチョッパーで店の雰囲気も下品でガラが悪い」というイメージがあり敬遠されるようです。確かにシックスモーターサイクルは贅沢に木材を使った開放感あふれるアメリカンハウスでもなく、常にワックスで展示車両が映りこむように磨かれたピカピカのフローリングの床があるような雰囲気の店構えでは決してありませんが、資本金の多少だけで発生するような問題で本当の意味でのハーレーライフは語れません。特に当店ではチョッパーばかり手掛けていますので反社会的なマイナス・イメージが特に強いようですがそれを払拭すべく、また広く一般のハーレーライダーの共感を得るために製作しましたのがこの1台です。
いつにもまして前口上が長くなりましたがそれでは本題いってみましょう。
オーナーはシックスモーターサイクルのお客様では珍しく年配の紳士でありまして、ご近所の奥様達も笑顔で毎朝の挨拶を欠かさないお隣の御主人がバイクましてやハーレーに乗るなんて露ほども思いもしないほどのごく普通の家庭人。そんな模範的社会人な彼がそんな生活を捨てハーレーをそしてチョッパーに乗りたいと考え、確固たる意志を持ってシックスモーターサイクルに来店されたのですから、それに応えるべくこちらとしても真摯な態度でプランを立てさせていただきました。
ベース車両は、もはや面影もありませんが1980年式のローライダー、排気量は1340ccです。フレームはリアをハードテイル化(ディーラー系には退かれそうですが…)それにV-TWIN製の74スプリンガーに小さなタンクと薄いフェンダーの組み合せ。奇抜さや意外性はありませんが走りをスポイルしないオーソドックスで誰にも親しみやすいチョッパースタイルにまとめました。カラーもここでド派手なフレイムパターンでは奥様の機嫌を損ねる要因にもなりかねませんのでソフトなホワイトを基調に西洋陶器を偲ばせるペイントで仕上げます。もちろん今回のキモ、オーナーの社会的地位を最優先事項に保安部品を充実、速度違反対策のスピードメーターや他車への意思伝達のための前後ウィンカーライトやホーンまで備えております。
かように当店ではお客様の意見を第一に考え決してこちらのショップイメージを押し付けたりは致しません。お客様は神様です。もちろんチョッパーに関する知識及び技術は豊富ですのでお客様の良きアドバイザーとなるよう心掛けております。ぜひ、2台目のハーレーはシックスモーターサイクルで。
やっぱり、怪しいよな…。



2.2ガロンのスモール・マスタングタンクにペイントショップ「ガンファーター」の繊細な透明感のあるホワイトをペイント。それをベースに大阪は堺市のショップ「ゴージ・ピープル」の華麗なるピンストライプでフィニッシュ。さらにタンクキャップには、ガソリン盗難対策のキーロック付きで抜かりありません。 余白 3インチ・ライザーとミディアム・エイプバーの組み合せで乗車姿勢は無理のないポジションに。ハンドルまわりはクラッチレバーがないのでグリメカのブレーキマスターと小型のスイッチキットだけになり軽快なイメージになりました。ちょこんと見えるミニメーターが走行中のオーナーに法定速度を知らせてくれることでしょう。



SUキャブに抜けの良いドラッグパイプでもショベルなら問題ありません。もちろん騒音取り締まり対策のためにもバッフルの装着は大切です。音量に関しては巷のディーラー系ツインカムカスタムの方がもっとうるさいので良しとしましょう。
ステップ位置はミッドコントロールでキックアームも折り畳み式を採用。実際に乗ってみないとこの取り合わせの本当の良さは理解できません。
イメージカラーのホワイト以外のメタルパーツはクロム加工を施してゴージャスさをアップ。
余白 その場の雰囲気によってキックを踏むかセルで始動できるか選択できるナイーブな乗り手の心情を考えセルモーターは残してあります。
そしてディーラー系カスタムでは話で聞いたことや本で見たことがあってもその存在は別次元のテクノロジーのように恐れられる禁断のシステム、ジョッキーシフトです。セル付のロータリートップゆえロッカークラッチへのロッド引き加工など要らぬ苦労もありましたが、この意味が理解できなくても普通に操縦できます。
さあ、あなたも勇気を出してこちらの世界に踏み出してみませんか。



ホワイトとクロムに分けられた74スプリンガーにグリメカのディスクブレーキシステム。当店ではスプリンガーにはドラムか何も無しかのどちらかなのですが制動距離短縮のために今回初めてこのシステムを取り入れました。これで誰でも安心して走れるというものです。フロントウインカーは某雑誌を見てなにか我々の知らない法則でもあるのか、この位置にあるようなのでそれを真似てみました。間にはホーンもあります。 余白 リジッドフレームの衝撃緩和性能はお世辞にも優れているとは申せませんので一家の主であるオーナーの老後のことを考慮に入れせめて肉厚のあるソロシートを用意させていただきました。すべり止めもかねて段差の深いステッチに気品溢れるホワイトのパイピングが映える逸品です。小さなシートではありますが、いざ腰を据えるときの優越感や満足度たるや中小企業の社長椅子などの比ではないことを最後に申し添えておきましょう。

FEB.2005