1-出所不明のリジッドフレーム
2-オールドパウコ・マスタングタンク
3-74スプリンガー
4-3インチライザー
5-エイプバーハンドル
6-懐かしのネスライト
7-グリメカマスター
8-SUキャブ
9-1・3/4オープンベルト
10-出身地不明のオイルタンク
11-ONE OFF・ショートフェンダー
12-ONE OFF・ソロシート
13-2in1エキパイ
14-身元不明のトランペットマフラー
15-自信満々のテールライトステー
16-自家製オールペイント



最初に書いておきますがこのチョッパーのオーナーはエライ。どこらあたりがエライかと言いますとオーナー自らが単身アメリカに乗り込み、自分のセンスを武器に今回製作しましたチョッパーのイメージを創りそれに見合うパーツを手に入れて来たからであります。シックスモーターサイクルに集まる輩はショップの立地条件から考えても小市民的でモノの考え方が狭く矮小で、極東の小さい島国日本から飛び出し広い世界をこの目で見てみようとかこの身で直に感じてみようなどというようなスケールの大きい人間はいません。そういう意味では「掃き溜めに鶴」的なひとかどの人物でしょう。
しかし、荷物の輸送料をケチって大きなリジットフレームを手荷物扱いで飛行機で持って帰って来たオーナーの「お金をかけるくらいなら、少しくらいの苦労はヘ・イ・キ・」的な思考形態は実にシックスモーターサイクル流ではありました。
さて、そんなオ−ナ−のイメージを具現化したチョッパーの解説に移りましょう。コンセプトはオーソドックスなオールド・スタイルチョッパーですが完全なる旧車志向ではなく、古典的なスタイルだが装備や造りはあくまでも21世紀である現代のテイストで表現しました。
特にヴィンテージモーターに比べて大柄なエヴォモーターを使用していますので、それに合わせて全体のバランスを調整することに力を注ぎました。
たとえば、アメリカのスワップミートでゲットしたリジッドフレームは旧車に使われていたフレームよりパイプの径がやや大きめで、往々にしてエヴォリジッドのカスタム車両に見られるモーターとフレームのバランスの違和感や高出力化に伴うフレーム強度の問題を同時に解消できました。でも、そういったことはチョッパーフリークであるオーナー自身のセンスから出たことなので我々がエラそうに言うのもなんですが。
カラーリングもオーナーの好みでHOT・RODシーンからインスパイアされた変化球無しの直球勝負なイメージで、ブラックとレッドを基調に派手さを抑えたネオ・レトロな雰囲気を漂わせてみました。シックでシンプルそしてクラシカルですが、実は凝った造りと信頼に足るパフォーマンスを持ち合わせて、新旧テイストを巧みに使い融合させた一台です。



センターにリブがあるパウコのスモール・マスタングタンク。
オーナーの持込みのパーツで、チョッパーイメージの王道を行くような造形美溢れるスタイルですが残念ながら現在では製造中止になりました。
時代からいえばパンヘッドに合わせるのが妥当なのでしょうが、このようなエヴォモーターとの組み合せというのも、スリムなタンクを大きなモーターのすぐ上にマウントすることになるので小さなフォルムがより効果的に表現されることになり、意外に良いものです。
余白 メッキのトップブリッジから3インチライザーにナロー加工無しのエイプバーハンドル。ポジション的にはかなり大柄でけっこうキツイ乗車姿勢を強いられるスタイルですが、これはオーナーの考えるところのチョッパーに付いてまわるハードなイメージを優先したものでしょう。
ブラックのグリメカマスターとよく目立つレッド・グリップがなんとなく卑猥でハンドル周りのポイントカラーにもなっています。
普通にブレーキレバーが装着されていますが、これはリアブレーキ用。



ストレートにチョッパーということで1・3/4インチベルトのオープンプライマリーに変更。もちろんキックオンリーです。
何か可愛らしい雰囲気の丸いオイルタンクは以前にYAHOOオークションで手に入れたモノをブラックペイントして取り付け。
サイドマウントされたオールドタイプストップライト&ナンバーは当店の製作者が妙に自信があると豪語するハンドルバーを加工したONE OFFステーでミッションケースベースから取り出しています。
余白 オーナーはなにか考えでもあるのか現状ではエアクリーナーが付いていないために本体が剥き出しのSUキャブレター。
5速ミッションなので大きく横に張り出したキックアームにはポイントカラーのペダルをセレクト。
ここにきて製作意欲が途切れたのか手抜き感溢れるシンプルなステップがハンドブレーキのみなのでブレーキペダルが有るべきところに何も無いのでよけいに目を引き摩訶不思議な空間を醸し出しています。



74スプリンガーにパウコのロッカーアームを逆さに取り付け禁断のローダウン。この方法だと簡単に車高を下げることができますが、地面からの衝撃の吸収限界が極端に低くなるので、走行の際にはくれぐれも段差には注意して下さい。
ブレーキレスなので21インチホイールの軽快さが引き立ちますね。小さなお椀のようなハブキャップがポイントです。
余白 ハーレーカスタムショップでは不良在庫扱いのファットボーイに純正採用されているセメント・ディスクホイールですが、貧乏な当店ではそんな日陰モノでもお化粧直しで有効活用されます。ちょっとしたカラーワークとオールド風味なホワイトウォールタイヤとの組み合せですが、HOT・RODイメージが最も感じられる部分です。飾り気のないスプロケと剥き出しのチェーンで荒々しい雰囲気も加算されます。



写真では後部が途切れてしまいましたが、ヤマハSR用のフロントフェンダーを流用した無いも同然のスーパーショート・リアフェンダー。
そして極薄で後ろ部分が極細のスコップのようなフォルムのソロシートはリアフェンダーを止めるためのステーも兼ねています。オーナーのバカさ加減が最も顕著に伺い知ることができる部分です。
余白 ブラックペイントされて良い雰囲気でカチ上げられた2in1マフラー。始動にキックキットを採用しているので、リアのエキパイは取り回しを変更するために製作しました。
迫力あるロング・メガホンは70年代に使われていたチョッパーパーツを探し出して取り付けています。中身は無いので爆音なんですが。

JAN.2005