1-35@ナローフォーク
2-4.5インチ・ベイツタイプ・ライト
3-ライザー一体型ハンドル
4-グリメカマスター
5-ハマータイプ・グリップ
6-ONE OFF エッグタンク
7-ONE OFF シート
8-ONE OFF マフラー
9-オープンベルトキット
10-ノン・ロッカークラッチ
11-ジョッキーシフト
12-ラウンド・オイルタンク加工
13-パウコ製リジッドバー
14-純正キャスト・ホイール
15-SUキャブ



「4速ショベル純正フレームを、そのまま活かしたカスタムスタイルが今、熱いらしい。」とのナガレでシックス・モーターサイクルとしては、どのようなアプローチで攻めていけるかと考え一つの答えとして製作したチョッパーになります。
様々なジャンルが表現されるリジッドフレーム・カスタムに比べて、ロー&ナローという単一なイメージばかりが強調されがちな4速フレームチョッパーですので個性を表現するのが難しいスタイルでもあります。奇をてらったモノなら、いかようにでも料理できるのですが当店のノリではありませんので、カタチはオーソドックスなものとしています。
このチョッパーを目にして、違和感を感じる人がいるかも知れません。バランスは楽しめるのだけれど同時に物足りなさを感じたりするのです。このチョッパーに異を唱える人は雑誌やネットの情報で、このようなチョッパーを駆りクラブの仲間内で貰いもののパーツで手を加えていくガレージビルド的な雰囲気にファンになり、「このスタイルは荒々しい雰囲気がなくてはならない。」という既成概念を持ってしまった人々でしょう。彼らが期待したのは、つまりはそういう事で、わざわざサンドブラストされるためにエンジンを降ろしフレームから美しくペイントされる作業に嫌悪感を抱くのです。
誤解してほしくないのは、そういうノリを決して否定しているのではなく、仲間同士のシンパシィに基ずくドメステックな行動は高く評価しているつもりです。彼らのモノ創りに対する力強い気持ちは安易には真似しがたいものが感じられます。そういう私もファンの一人だからそれは良く解るつもりです。
しかし、仮にもプロとしてその作業の対価として報酬を受け取りカスタム製作を請け負う場合はこのガレージビルド的な演出はいかがなものかと思う訳です。決して手を抜いているとは思いませんがあまりにも安易に流行りに乗った「スタイルだけのあざとさ」が感じられるのです。
三流ショップを自認するシックス・モーターサイクルとしては偉そうなことを言っていますが、プロとしての最低ラインのプライドはあるつもりです。飛び向けたスキルやセンスがあるわけではありませんが、例えてボクシングでいうと判定で勝つタイプの選手であると思います。もちろんKO勝ちが理想なんですが、小さなポイントを重ねて上手く判定で勝てるそういうタイプです。時々、パンチに懲り過ぎる面はありますけどね。



ハンドル廻りはライザーとハンドルバーが一体化になった定番のスタイルのものをワンオフ。既成イメージの強いハンドルですので好き嫌いが激しいスタイルですが、それゆえパーツの小型化、減数化に腐心するこのタイプのチョッパーにはどんぴしゃではあります。
ブレーキは生かしていますのでグリメカのキットを装着。インナースロットルでさらなるシンプルさを狙いたいところですが、オーナーの甲斐性の無さで断念。このために結局、有象無象の波に呑まれていった有望カスタムハ−レ−は多いと聞きます。
余白 「なんと!お宝パーツが!」と期待したかも知れませんが残念ながらこのエッグタンクはビック・マスタングタンクの両サイドをカットして再接着した当店のフェイクです。しかしながら、エッグタンクの由来からすると実に正攻法な作業で製作されたものです。でも当時は美しいスタイルのナックルやパンのタンクをカットして生まれ、パウコ社もそのデザインを模して発売していたと思われるので当店の倉庫に転がっていたジャンクな不人気タンクを加工したものとはラインは違うはずですが、そのかわり給油口が2つ共に使用可能ですのでイ−ブン、許容範囲と致します。



年式相応にヤレていたエンジンは腰下までのフルオーバーホールを施し、ついでにサンドブラストでアルミ地をマット加工してツヤのある外装とのメリハリを付けています。鉄のシリンダーとSパイプ使用のワンオフ・ドラッグパイプマフラーはシルバー塗装。特にマフラーをシルバーにするとレーシーな雰囲気が出ます。
SUキャブには倉庫にあったドライヤータイプのファンネル?の先端を少しカットしたものを装着。SUキャブは剥き身のままではサマにならないのが困りものですね。
余白 1.5インチ・オープンベルトとノン・ロッカークラッチのジャッキーシフト仕様。ここで荒々しいオープンチェーンを選ぶとぐっとオトコの格が上がるのですが、もろもろの事情によりそこまではやっておりません。
デカい顔で天を仰いであります髑髏は、どこぞの土産物らしくオーナーの持ち込みでありましたが、厚みの薄い中空の鋳造品ゆえネジ切り加工に大変苦労しました。
基礎部分にFX系のステップパーツを流用したシンプルなワンオフ・ミッドステップは当店の得意技であります。



フロント廻りは純正の35@ナローフォークを流用してボトム部分をブラックペイント。それに合わせるホイールはスポークではあまりにも面白味に欠けるとの判断で前後共、純正の9本キャストホイールを奢っています。ブルーグレーにペイントされたキャストホイールは今回のカスタムのイメージを左右する選択でしたが、どのように感じられるでしょうか。狙ったセレクトではありますが、このようなカスタムは好みではないという人も、シックスらしさは認めて頂けると思います。 余白 キャストホイールと雨天時のグリップ力に疑問が感じられるパターンのダートトラック用のファイアストーンタイヤ。スイングアームは思いきってデザイン優先でリジッドバーで固定。丸みのあるサイクルフェンダーとワンオフのシッシバーで視覚ラインを整えます。オイルタンクはシンプルなラウンドタイプを幅詰め加工。サイドマウントされたテールは直球勝負のルーカス・タイプでLED仕様。シートは厚みのあるベージュカラーのワンオフ・コブラシートでこのバイクのカラーポイントでもあります。

        JUN.2007