1-純正レプリカ・リジッドフレーム

2-74スプリンガー

3-スポーツスタータンク・ナロー加工

4-4.5インチ・ベイツタイプライト

5-シックス・トップティー/ロボットハンドル

6-ナローフラットフェンダー

7-ワンオフ・ソロシート

8-パウコ・アップスィープマフラー加工

9-前後ドラムブレーキ

10-その他多数


シックス・モーターサイクルとしても久し振りの実に思い切りの良いフルカスタム・ショベルリジッドチョッパーです。最近主流のビンテージ風味の渋めのチョッパーとは違い、スカッと貫けた感のある丁寧な造りの爽やかチョッパーに仕上げました。
それはなぜかと問われると答えはそのオーナーにあるんです。彼の年はなんと、その時19歳!若い!あまりにも若すぎます。大型免許の制限も考えるとこの日本でハーレーに乗るには最年少の部類にランキングされる年齢です。それもフルカスタム、ウラヤマシイ限りです。また、このハーレーには全く関係ないのですが、一緒にいた彼女もこれまた若く、まだ女子高生だったのです!ダブルショックでした。
私のように世間的には中年、もとい ミドルエイジな年代としましては、日本に於いてのハーレーというものは、ひとかどの社会人として変化のない人生を送るうち、会社にも家庭にも疲れきり弱体化してしまった哀れな男に残された最後の砦、やせ我慢とツッパリを心に忍ばせ野生の幻影だと言うことを承知で走る、と言うような世間ズレした大人のオモチャみたいなイメージが何となくあったのです。でも21世紀の現在、ストリート系マガジンが謳うようにスマートでクールにカッコ良く、私が夢想するようなある意味ウザいイメージは完全に時代遅れで払拭されて微塵も無いのでしょうね。トホホ…。
そんなオッサンの想いは突っぱねるが如く、青い果実真っ盛りな若いオーナーの好みにより本能のおもむくまま、自分が素直にカッコイイと感じたスタイルとパーツで仕上げられたショベル・リジッドチョッパー。これからもっと熱くたぎるであろう若さ溢れるハイパワーゆえ、何のためらいも畏れもなくズバっと選んだ純正レプリカ・リジッドフレームなどのパーツセレクトやそれに伴う絶妙なフォルムが実に気持ちイイですよ。いわゆるオールドスクール・チョッパーのスタイルに沿いながらも巧みにシックス流のアレンジが加えられストレートにカッコイイですよね。かえってハーレー擦れした私では出来そうも無いことをアッサリとクリアーして、さらに上手に昇華されています。
依頼される店側としても、オーナーはもちろん初めてのハーレーなのでカッコのみのバイクにならず、否カッコを充分堪能するにはトラブル続きではとうていその余裕すら出来ないので、オーナーが普通に気持ち良く走れるようにプロのバイク屋としてこれまでのノウハウを注ぎ込んだイイ仕事を見せてくれました。納車時の歯切れの良い爆音と、オーナーのアグレッシブな走りがそれを証明しています。


74スプリンガーにはシックスがリリースした地味にイイ仕事をするトップティーを使用して、ショートライザーを狭く取り付けそれに合わせたロボットハンドルをチョイス。スイッチ類が無くジョッキーシフトゆえ、ハンドルにあるのは先細りのビンテージレプリカ・ブレーキレバーだけで、それに古っぽいデザインのジャックハンマー・グリップのシンプルな構成。やはり、ドラムブレーキは良いですなぁ、ハンドル廻りもすっきりとして。
ライトはチョッパーならこれだ!とばかりに直球セレクトな4.5インチ・ベイツタイプライトです。

タンクはシックスには珍しくスポーツスター・タンクをセンターでチョップして幅詰め加工を施したナロー仕様。このタンク容量では頻繁にガソリンを補給せねばなりませんが、それが煩わしいと思う人はチビタンクなど付けてはいけませんよ。逆にチョッパーでいかにガソリンスタンドをカッコ良く使うかを楽しむ気持ちが必要ですしね。このシーンはバイクムービーでも必須ですから。
カラーリングはやはり、チョッパーならこれだ!のキャンディレッドベースにオレンジで細めのフレイムスを表現。


ショベルユニットはOH後にサンブラ・ペイント・ポリッシュとパーツごとに表現を変えてみました。見た目がモノトーン系なので表面処理でメリハリをつけ変化を楽しむためです。
キャブはSUでポリッシュ処理で小型のファンネル、最近はエアーフォーンって言うんだっけ?を装着。
ステップはこの位置は、もうすでに懐かしくなりました!と言える我が国が考えるところのフリスコ・マウントスタイル。
キックペダルはまるで石鹸のようなスタイルが有名なナックル時代の純正オプション・レプリカで黒色タイプを使用しています。

現在ではハーレー独特の機構が目を引くプライマリー側のショット。オーナーが若くなくても興味を惹かれるだろうオープンベルト・プライマリーにノンロッカー・クラッチとジョッキーシステムというシックスでは三種の神器と言うべきような定番のスタイル。
このスタイル、シックスの仲間内や雑誌では当たり前のように見かけるので世間では流行っているように思えてなりませんが、世の中のバイクでハーレーの占める割合がどれほどで、尚且つハーレーでもエボやツインカムが大半と考えるとマイノリティな存在なのでしょう。その辺り、我々のバイクに対するイメージは一般的ではないんでしょうね。


純正レプリカフレームの美点、リアアクスルの創り込みがマニアには堪らないショット。まして、ドラムブレーキなのでこちら側から見るとフレームとタイヤのみのシンプルな構成になるのでポイント高し。
今回、19インチホイールを採用してスポーティなパターンのタイヤを組み合わせてレーシーなイメージを表現しています。
マフラーもパウコ製のアップスィープを加工して、ストレートカットの造作的にもシンプルなものに仕上げました。このカタチも元はダートレースのためのスタイルだったので相性ばっちりです。

19インチホイールにピッタリと沿ったスタイルに加工されたナロー・フラットフェンダー。ナンバーもブレーキライトもサイドマウントでフェンダーサポートも付かないシンプルなもの。一見、強度的に不安定なように思えますがONE・OFFされたダイヤモンドステッチ入りのソロシートに補強のスチールプレートが内臓されフェンダーサポートを兼ねております。
しかし、もちろん補強されているとはいえ後に女子校生を載せることは無理なのは明白。スタイルに没頭するあまり、彼の頭の中から彼女のことはスポッリと抜け落ちているようです。


OCT .2008