1-ワンオフ・ハンドル

2-グリメカ・ブレーキレバー

3-エッグタンク

4-薄型フォグライト

5-ショートカット・リアフェンダー

6-ワンオフ・ソロシート

7-ワンオフ・ドラッグパイプマフラー

8-SUキャブ

9-オープンプライマリーベルト

10-ノンロッカー/ジョッキーシフト


のっけから近頃、シックス・モーターサイクルで車輌を購入およびカスタムをされたお客さんの職種の話なのですが、当店で一番多い職業は「歯科技工士」という結果になっています。シックスでは「入れ歯屋さん」といささか語弊のあるネーミングで呼ばれているんですが、私個人としては結構めずらしい仕事だなと思っていたのですが、日本で一番多い医者は歯医者だと後で知り、なるほど高齢化社会の日本なら歯医者の需要は右肩上がりで、その懐刀的ポジションの技工士の人数も相対的に多いはずだと納得したものです。
それにしても、シックスでは現在すでに3人もの歯科技工士がいて、しかも彼らは知り合いだった訳でもなく全くの偶然でシックスを選択したのです。もちろん話の流れ的にも今回のオーナーは歯科技工士なのですが、地方の個人経営の弱小バイク屋にしてこの人数なら話のネタになるのではないでしょうか。これが、現在人手不足といわれる産婦人科の先生ならもっと話題性があったのに残念です。
さて、歯科技工士というと歯のレプリカを造るのが主な仕事ですから、ちょっとしたクリエイターみたいなもの。そんな彼ですからカスタムの方向性にもこだわりがあるようです。残念ながら私はオーナーとは面識がないのですが、世の中を斜にしかみれないシニカルなスタッフにオーナーの人となりを尋ねますと「サイバー入れ歯屋」と返事がきました。えっ?サイバー?入れ歯?う〜ん、しっくりこない!何それ?ターミネーターのクロームでピカピカの歯でも創りそうな人?全身レザーに痛々しい拷問器具を携えたホラームービーの怪人みたいな人?なんじゃそりゃあ!
とにかく今回は、そんなオーナーの趣味嗜好を存分に取り入れた、ザ・サイバー・チョッパーであります。ブラックと鈍く光るクロームのモノトーン系で渋くまとめられたビックツインとは思えないほどのナローフォルム。プレーンなエッグタンクにボブカットされたリアフェンダー、うねうねと取り回されたブラックカラーのマフラーなど流行をしっかりと取り入れつつ、シックス風味を付け加えた4速フレーム・チョッパー、ヤバさ爆発ですね。
けっして、笑顔の似合う爽やかな好青年が乗るような堅気なバイクではありません。血まみれのレザーコートに頭は半分スキンヘッド、大きく裂けたクチビルに無慈悲に光るメカニック・アイ、夜な夜なカギ爪の手で造りだされる歯は悪魔の紋章が彫り込まれたメタル・タスクばかり。そんな悪魔的サイバー・オーナーのイメージを見るもの全てに強烈に感じさせてくれる、ひじょうに解りやすい一台ですね。たぶん、そんな私のイメージは間違ってないと思います。


FXE純正のナロー・トリプルに、直に突き立てられたライザーはハンドルバーと一体化されたワンオフもの。
どちらもパイプを組み合わせた造作なのでとてもナローな雰囲気があり、タルグリップとグリメカ・ブレーキレバーだけのセットアップなので配線も中通しする必要もなく実にシンプル。

丸いフォルムのエッグタンクはつや消しブラックとグレーのツートーンに塗り分けられ、オーナーお気に入りのアパレル・ブランドロゴからモチーフを取り入れたマークが最近、鳥取県人となったピンストライパー・コンチ氏によって描かれています。
このタンクのカラーがバイク全体のイメージに大きく貢献しています。


ローダウンされた35ミリ径のフロントフォークの間に収まる薄型ライト。ライトのカスタムパーツとしては、最近流行りのユニティ製やガイド製、王道のベイツなど小型のタイプがいろいろありますが、これはフォグライトを流用したもの。残念ながらメーカーは不明です。モノは薄いフォルムですが前から見ると普通のライトにしか見えないというところが、いかにも一部品として個を主張し過ぎないのでマニアックな方面から好感が持てます。

SUキャブにショベルエンジンの組み合わせはポピュラーではありますが、それに被さる複雑なアールで取り回されたドラッグパイプはワンオフモノです。フロントパイプが大きなアールを描いてエンド部で前後パイプ揃ってターンアウトなところが特徴でしょうか。バイクのポジションに合わせてマフラーも全体的にフロントアップなスタイルなのもポイント。オイルタンクは黒くて形状がわかりにくいですがラウンドタイプです。


純正ストラットをショートカットしたサポートで、これもカットされたFXフェンダー。ビンテージスタイルのストップライトとナンバーはリアショックに沿わされて装着しています。ブラックパウダーコートされたリムとプックリとしたホワイトウォールタイヤが雰囲気ありますね。
肉厚のソロシートはシックスお得意のワンオフモノ。もちろん、オープンベルトとノンロッカー、ジョッキーシフトは言わずもがなの仕様です。

ナローなスタイルのリアショット。ハーレーと言えば大排気量の大型バイクのイメージがありますが、ショベルタイプまでは外装を小型化してローダウンするだけでびっくりするほど細く軽量感が出ますね。FLHとFXの外装違いの差以上の何かがありますね。以降の車種とはエンジンヘッドのサイズとパイプのみのフレームとのスキ間から感じるエンジンパーツの別体感イメージが存在するからでしょうか。


NOV .2008