1-上げ上げハンドル
2-74スプリンガー
3-ピーナッツタンク・ナロー加工
4-4.5インチ・ベイツタイプライト
5-シックス・トップティー
6-ナローショートフェンダー
7-ワンオフ・ソロシート
8-ターンアウト・ドラッグパイプマフラー
9-SUキャブ/ショートファンネル
10-5速キックキット
11-ミッドステップ加工
12-F/19インチ −ドラムブレーキ


基本スタイルはスタンダードなシックス・スタイルでありながら、オーナーの好みやシックスなりの流行りを上手く取り入れたソフテイル・チョッパーで、このソフテイルをベースにちょこちょこと手を入れたカスタムは当店では特に力を入れているジャンルです。現代的設計のエボリューションとは言えツインカムが主流の今となってはれっきとした絶版車。それも最終型といえども10年落ちになろうかという年月が経っています。ツインカム乗りからすれば一昔前のエンジンになるわけで、エボ全盛期にハーレーに乗り始めた私が当時一世代前のエンジンであったショベルに対して持っていたノスタルジックさからくる憧れや不安感と同じようなスタンスでこのソフテイルを見るのでしょうか。
「ハーレーらしさが残った最後のエンジン」 なんて20年前にも同じように雑誌で見たような文句が最近の雑誌にも掲載されている、新しくもなく古くもないどっちつかずな鬼っ子エボリューションがシックスは大好きなんです。いろんな意味で泥沼に堕ちやすい旧車ほどこだわらずに気軽にいろいろ楽しめる、当店の番頭風に言えばさらっと乗れるとでも言うんでしょうか、「誰でもすぐに走りとスタイルとが上手くハマる」 良いエンジンだと思いますね。旧車マニアでこだわっている人には物足りないかもしれませんが、一度は乗ってみて損はないエンジンですよ。かく言う私の旧車マニアの一人ではありますが、過去3台エボを乗りましたから良くわかります。
さて、そんなさらっとチョッパーにこのたびのオーナーが求めたのが地元大阪で有名なモーターサイクルクラブ「バサラ」で最初に始めたと言う上げ上げハンドルバーでした。本来ならインナースロットル装備の旧車カスタムに有効なハンドル形状ですが、族車のかち上げた通称「鬼ハン」にも通ずるため、アウトローを感じさせるその厳つい雰囲気が彼の眠っていた不良心に火をつけたのでしょう。しかし、シックスとしては同じ大阪でのパクリということで、多少後ろめたいところがあったのか製作中はずっとハンドルに布カバーをかけて、なにげに隠されていたところにシックスの小市民的なデリケートさを見た感じがありました。でも、奥さんから渡される一日のお小遣いが千円のため遠出が出来ず暇潰しに遊びに来たバサラのメンバーO氏にしっかりと見つかり茶化されてからは、開き直りからかそんなことはなくなりましたけどね。
全体のイメージは小さなタンクに短いリアフェンダー、小振りなアップハンドルに短いターンアウトマフラーと記号的要素の多いストリート流儀なスタイルではありますが、基本的なファルムは間違いがないように製作しましたので厭味のないカッコイイチョッパーになったと思います。特に今回、プライマリーケースはそのまま残しているので、全体がシンプルであっさりとしたスタイルでカラーリングも控えめなため、中央に位置する大きく角ばったエボ・エンジンと併せてマスの集中化の効果で見た目の重心が下に寄り、ことさらロースタイルが強調され、反対に上に突き出た特殊な形状のハンドルが目立っているのが、カスタムでのポイントになっています。


今回のカスタムのスタイルを特徴づけている上げ上げハンドルバー。ミディアムハンドルを加工して製作、ポジション的にも左右に広がったスタイルなのでさらに厳つさを強調するためレバーも斜め上を向いたように取り付け。社外の74スプリンガーには純正のFLH用のライザーを介して取り付けていますが、もちろん加工なしでは装着できませんので、そのような場合に備えて製作販売したもののさっぱり売れない当店のオリジナル・トップティーを使用しています。

ピーナッツタンクを中央で分割した後、幅詰めして小型化した小さなガソリンタンク。頭でっかちなエボエンジンが真下にあるので、なおさら小さく見えますが実際ガソリン容量は少なく頻繁な給油は必須でしょうね。
塗装はあっさりめで下地塗装のプライマリーかと思ってしまう半艶のライトグレーペイントに紅いフレイムスのペイント。オーナーの好みであるHOTRODなどで良く見かけるアンフィニッシュなイメージが特徴的な仕上がりになっています。


ポイントカバーを大きく迂回するように並列に取り回された、ドラッグパイプマフラーはONE-OFF製作されたもので排気口部分は微妙にターンアウト加工が施されています。ストリートチョッパーでは装着率の高いスタイルのマフラーなんですが、実際既製品では満足のいくスタイルは少なく皆さんアールパイプを繋げて個々で製作している例が多いようです。
キャブレターはSUキャブでほとんどエアクリーナーレスだと断言していいほどの小さなファンネル付き。ノーマル同様セルを残してありますがオーナーの好みで5速キックキットを取り付けています。

シックスではエボでもすぐにベルトドライブシステムにしてしまうので、珍しいプライマリーケースのある一コマ。ミッドステップ仕様なのでシフトロッドアームがケースの上から取り回されているのが特徴的です。
オイルタンクにはポイントとしてリーフイメージのピンストライプが入れられているところが何気にオシャレでしょうか。
ONE-OFF製作された厚みのあるシートはかなり小振りではありますがチョッパーでは必要にして十分な大きさ。ドロよけよりもヒップガードと言ったほうが正しいようなリアフェンダーはシートによって固定されています。


APR .2008