1-ハードテール加工
2-純正タンク
3-SUキャブ
4-エイプバー幅つめ加工
5-フラットフェンダー幅つめ加工
6-シーシーバー製作
7-ドラッグマフラー製作
8-ホワイトコブラシート製作
9-各所ホワイトラバー使用
10-アルミオイルタンク
11-アルミ電装,バッテリーBOX製作

このバイクは,HOT BIKE JAPANの別冊「SPORTSTER ・」で紹介されたので御存じの方も多いでしょう。
1979年のアイアンショベルをベースにフレームをリジット加工,リアが18インチサイズのノーマル車が持つスポーティなイメージをチョッパーに反映させました。
カスタムの発端は現オーナーが旧車で有名な船場さんで程度の良い純正タンクを偶然,手に入れたことでした。前オーナーによってピーナッツタンクが装着されていたのを,ノーマルのカッコ良さを強調する方向で,タンクを中心に全体のイメージ作業を進めました。
最初は70年代の香りが感じられるお洒落なバイクを目指していたのですが,エイプハンドルを付け,ホワイトシートを乗せるというふうに製作が進んでいくにつれて,だんだんとアウトローイメージの強いものとなっていきました。
しかし,このことは製作スタッフにしてみれば予想外の良い出来となり,もちろんオーナーにとっても,うれしい誤算でありました。
首尾一貫したイメージで最後まで完成させるだけでなく,製作段階でいろいろとアイディアを出してみたり,良いと思えばイメージの方向性を変化させるのも,おもしろい結果が出るという好例だと思います。
オーナーは今年の夏にこのチョッパーに乗り北海道に旅に出ました。私も同行しましたが,今年の北海道は稀にみる冷夏で旅の最初から最後まで雨と寒さに,たたられることになりました。北海道でフロントフェンダーが無いので泥だらけになった,このバイクを見かけた方もいらっしゃるかも知れませんね。


79年式の青ラメ塗装の純正タンクが美しいですね。やはり,スポーツスタータンクは小型のものがチョッパーには断然似合います。タンクロゴは同年式のローライダーと同じタイプのものがスポーツスターにも使われていました。
フレームの取り付け位置を加工してタンクをハイマウントに装着。前すぎず,下がり過ぎでもない絶妙なバランスを保っています。
タンクキャップカバーは通称サザエと呼ばれるタイプ。使用されているものはハーレーダビットソンが72年から82年まで発売していた純正品です。社外品とはトップの窪みと重量感のある質感が違います。このようにパーツをこだわることで,カスタム全体のクォリティを高め,より良いバイクを製作するのです。
キャブはアイドリングの低回転の良さとキックでの始動を重視してSUキャブに。編目状のエアクリーナーはオーナーの趣味です。
この年式のアイアンショベルは,リアブレーキシリンダーがキックカバーの上部にあり,リアマフラーの取り回しが制限されます。そのため市販のマフラーはシリンダー避けの曲がりがありカッコ良くありません。このバイクではショットガンタイプのドラッグパイプをワンオフ製作することでカタチの良さと機能を両立させています。
アルミ製のオイルタンク,電装と共通のバッテリーケースはワンオフもの。オイルライン以外の配線は隠す処理をしているので,実にシンプルな雰囲気になっています。
18インチの純正リアホイールとエイボンタイヤ,青ラメのフラットフェンダーにホワイトのワンオフコブラシートのコントラストがカッコイイ。
コブラシートもやたらと薄いものではなくて,ほど良い厚みで製作しました。
このバイクを引き立てるテクニックとしてシートやグリップなどをホワイトに揃えてカラーイメージに変化を与えています。この手法はもともと50年代後半から60年代にかけてアメリカで流行ったもので,ハーレーも純正オプションとしてホワイトグリップなどが発売され,当時のバイクをお洒落に演出していました。
しかし,最近の再販品はゴムの質が悪くて,すぐにすり減ってしまうのが難点です。
後ろから見るとこのバイクの細さが分かっていただけるかと思います。
タイヤの幅に合わせてフラットフェンダーも幅つめ加工が施され,それに合わせて,ほど良い長さのナローシーシーバーが装着されています。
シックスモーターサイクルでは,シーシーバーはカスタムスタイルに合わせてワンオフ製作するのですが,フレームからフェンダーへのパイプのアールを,またフェンダーから上の角度をどうカッコ良く表現するのか,製作スタッフが頭を悩ませるところです。
シーシーバーの中央にはナンバープレートとチョッパーに,良く似合うルーカステールライトをセット。
車体の幅に合わせてエイプバーハンドルも真ん中でカットして幅つめ加工。ライザーはショベルのFLシリーズに装備されている2分割ハンドルの純正のクランプ兼ライザーを流用しています。ノーマルのFLではアルミのライザーカバーで隠されているのですが,このシンプルで荒々しいフォルムがチョッパーと相性が良く,知る人ぞ知る隠れアイテムになっています。