1-ピーナッツタンク加工
2-ソロシートカウル
3-ワークスサスペンション
4-レーシングマフラー
5-ホワイトグリップ他
6-オーナー直筆のイラスト
7-ノロジー・ホットワイヤー

このモデルは1983年から1984年(形式的には84年から85年)の2年間だけ生産された,XR1000です。
ルシファーズハンマーがデイトナレースを走るのに市販車をベースにしなければならないという規定をクリアするために一般販売された,いわゆるホモロゲーションモデルです。簡単にいえばレーシングバイクであるXR750の腰上をXLHのクランクケースにドッキングさせたレーサーレプリカ。聞いたところによると,開発期間はたったの60日間だったとか。そのせいかエンジンのセッテングが難しくコンデションを維持するのに細心の注意を払うバイクです。アフターマーケットパーツも数少なく,部品の調達に関してはナックルヘッド以上のオーナー泣かせです。
しかし,レーサーゆずりのエンジンはバツグンにカッコよく,そのイメージに憧れてこのバイクを愛車にと気合いの入ったオーナーは後を断ちません。
さて,このXR1000はそのようなオーナーの手によってさらにモディファイが加えられたものです。オーナー自身でパーツの選択から購入までを手掛けているのでシックスモーターサイクルのカスタムバイクとはニュアンスが違うのですが,福井県在住のオーナーの強い希望で登場となりました。
オーナーによるとポリスの払い下げバイクをイメージして,荒々しく過酷な任務で年期を感じさせるバイク。その後他のパーツの寄せ集めで修理されたという雰囲気を出したポリススタイルカスタムだそうです。
オーナーは決してデコトラポリスマニアではないのでマッドマックスのノリでしょうか。


XR1000にはめずらしくピーナッツタンクをチョイス。
オーナーいわく,ピーナッツを選んだのはシートカウルに描かれているスヌーピーの相棒「ウッドストック」の洒落だそうです。(スヌーピーの漫画のタイトルが「ピーナッツ」だから。)
Bluescycleという文字はブルースブラザーズが大好きというオーナーが劇中のパトカー「ブルースモビール」をもじったもの…。とにかく,オーナーの思いがいっぱい詰まったピーナッツタンクですね。
また,イラストは「ソウルマン」というキャラクターで,以前トイランのポスターを手掛けたこともあるオーナーの直筆です。
2連装のキャブレターが,たいへんカッコイイ。パワープラントがこのXRのすべてだといっても過言ではありません。
猫目が特徴のヘッドはレーサーゆえ,表面処理もされておらず,なんの飾り気もありません。スムースなアルミのプッシュロッドもよく目立ちます。ノーマルで70psを発揮、しかも純正のレーシングキットを組むと90psをたたき出す実力の持ち主。まさにレースのために開発されたという機能美を感じさせてくれます。
キャブレターはノーマルのデロルトを使用。ハーレーでは特別に2連のキャブを2in1のアクセルワイヤーで操作するのでアクセルが非常に重く,日常的にこのバイクをコントロールするには鍛え抜かれた腕力が必要不可欠でしょう。
オーナーの好みでシートカウルは,Nice!motor cycle製のソロシートカウルを使用。オフセットされたブルードット入りのテールライトがポイントですね。
イラストはイリノイ州のシカゴ市警のポリスマークをアレンジしたもの。(ブルースブラザーズの舞台だそうです。)
キャブと同じく2連のブラックマフラーは純正のレース用で見た目にも,たいへん迫力があり音量もかなり大きなものです。
XR1000というと,マニア好きの純正度の高いノーマルやストーツのアルミタンクを付けたダートラックスタイルが,わりとポピュラーなので,このように自由なテーマでカスタムされたXR1000は特筆すべきものがあるでしょう。