1-純正スプリンガー7Bカット
2-5インチライザー
3-エイプバー(幅つめ加工)
4-スイッチ周り簡略化
5-リジットバー
6-5インチフラットフェンダー
7-2.2ガロン,マスタングタンク
8-ワンオフ,アップマフラー
9-トライバル?フレイムペイント

1991年のスプリンガーソフテイルベースのチョッパーです。

このチョッパーのオーナーは,このホームページのCUSTOM BIKESのコーナーで以前紹介しました,東京在住の1986年式のFXSTカスタム所有の「お任せしまーす」氏の友人だそうです。聞きかじりなのはやはり,彼も東京在住で友人が当店でカスタムしたソフテイルチョッパーを見て,ありがたくも気に入り「それでは,俺もシックスモーターサイクルでバイクを買ってカスタムするか。」というような感じで電話にて全てをオーダーしたからにほかなりません。そういうわけで,関係者一同,誰も彼に会ったことがないのです。

しかし,今回は「以前に製作したソフテイルチョッパーに似た雰囲気のカスタムを」という依頼でして,それならオーナーの好みというかノリが分かるので,製作はスムーズに運ぶはずでした。オーナーから,「ある言葉」を聞くまでは。それにつきましては,下で述べていますので一読下さい。

シックスモーターサイクルでは,この製作費40万円カスタムタイプのスプリンガーチョッパーをホームページに載せていないものまで含めると2〜3台製作しましたが,もともとソフテイルフレームにスプリンガーという組み合せのせいか,少し外装に手を加えただけで,たいへん見栄えの良いチョッパーになりました。

もともとハーレー本社がチョッパーのイメージを強く意識して発表したモデルでしたが,本来チョッパーというものはアウトサイダー的イメージが強くありました。しかし企業としてはそれをベースにしながらも,誰でも扱える利便性,保安基準というようなことを念頭に置いた,工業製品としてのチョッパーを販売さざるをえません。このような本来のイメージとは相反するが,売るために手を加えねばならない「メーカーとしてのジレンマ」があります。
それを我々のような三流悪徳ショップは,カッコイイという手前勝手な思い込みと独断でごっそりと削ぎ落としてしまうのでデザイン至上主義のチョッパーになるのは,当然のなりゆきだと思えます。




リジットバーで固定されたフレームに5インチのフラットフェンダーとワンオフシッシバーの組み合わせです。

前回製作したチョッパーでは大きくアップスイープされた2本出しワンオフマフラーがポイントになっていましたが,今回もマフラーがスタイルの大きな特徴になっています。

以前はスタイルを追求するあまり,とても長いドラックパイプを製作しましたが,そのため正直なところ音質がやや下品な感じがありました。それを踏まえてスラッシュカットされたサイレンサーを取り入れ,見た目と音の良さを両立できるようにガンバってみました。

余白

ストレートに伸びたフロントパイプと旧車でよく見かける特徴的な曲げのリアパイプを組み合せて,そこからアップスープされたエンド部へ繋がるスタイルをカッコ良く見えるように上手く処理しています。

前回のチョッパーとは2本出しタイプと2イン1タイプの違いこそあれ,それが車体に装着されると全体から発する雰囲気は同じものが出せたと思います。いわゆる,アウトロー的でしかもちょっぴりおかしなイメージというやつです。

エンジンの塗り分けは,いつものアレ。真っ赤なシリンダーが危険なイメージに拍車をかけています。
キャブはノーマルでエアクリーナーカバーだけS&Sのものを使用。




幅の狭いフラットフェンダーとタイヤのスタイルを強調するためにテールライトやナンバーはサイドマウント。それに合わせてシックスモーターサイクルでは珍しくVLタイプのライトをチョイスしています。

店の倉庫に転がっていた純正のディッシュホイールを履かせベルトプーリーと共にブラックペイント。前回もそうでしたが,これをやるとなんとなく「おっ,カスタムしているな。」というような雰囲気があるので,当店では
よくこの手法を使います。

シートは予算の関係もあり,ソロシートをフレームに直付け。
しかし,チョッパーには自己主張し過ぎないこのシートが,かえって変なシートを付けるよりはまとまって見えると思います。それに後日,オーナーが好みのシートに付け替えるのも簡単にできますし。

余白

前回のスポーツスタータンクと区別化してこのチョッパーでは2.2ガロンのマスタングタンクを装着。
しかし今回のお任せオーナーの唯一の注文はペイントだったのですが,希望は「カナブン色にして」という非常に奇々怪々なオーダーだったのです

このような難しいペイントオーダーにはシックスモーターサイクルでは,責任回避ということでペイントショップ〈ガンファイター〉に“おまかせ”というかたちで全てを押し付けます。

そうして,完成したのがコレ。
ベースのグリーンやトライバルフレイムのゴールドにもキラキラのラメ塗装が入っていて実際はたいへん綺麗なのですが,見ようによっては日本の伝統色みたいに思えるんです。
チョッパーとしてはいかがなものでしょうか?




ノーマルのスプリンガーは理想のチョッパーのスタイルに近付けるためには長過ぎると判断したので,フロントレッグを7Bカットして車高を下げています。

ペイントもリアをブラック,フロントをメッキで仕上げツートーンカラーにお化粧直し。軽量感を演出するためにダンパーを取り去って小型のヘッドライトに交換しました。

ハンドルバーの幅を狭く加工できるようにトップブリッジを幅の狭いライザーを取り付けられるタイプに交換。それに5インチのライザーを組み付け,センター部分をカットした幅つめエイプバーをセットアップ。

ハンドル周りは,チョッパーに限らず正直な話,
ハンドルバーだけのものが一番カッコイイと思っています。
しかし,悪徳ショップとしても初めてのお客様ということで,まっとうに公道を走行するためにスイッチ関係を装着せねばなりません。そんなわけで,コントロール系はできるだけ,簡略・小型化に努めました。
ブレーキマスターシリンダーはカワサキのものを流用しています。

SEP.2003